ビジョン

このプロジェクトが目指すこと

 日本・中国ともに少子高齢化のなか、治療技術の進歩により死病ではなくなったがんを抱えて生きてゆく人たちが、病院の外側である地域コミュニティに急増しています。しかし私たちは、未だその状況に対応できておらず、患者や家族が多くの困難に直面しています。

誰にでも起こりうる病気として臆することなくがんであることを公言でき、そして地域コミュニティで支え合う社会を目指すことが、アジアのがんのユニバーサルヘルスカバレッジ(誰ひとり取り残さないがん医療)の実現のために必要です。

そこで本プロジェクトでは、日本(富山県砺波市・南砺市)・中国(江蘇省蘇州市)の二地域で学校・職域・地域のそれぞれの領域でがん教育を行い、相互に学びあうプロセスの中で国際協力の基盤を構築することを目的とします。がん教育が先行している日本の利点と、ICT技術やデータの利活用が先行している中国の利点を相互に取り入れ、日中の地域社会の文脈に即した教育プログラムの開発を目指します。

がん医療を巡る問題は、社会環境や医療システムが大きく異なるものの、がん検診率の低さなど、同じ構造をもつ課題も多く存在しています。東アジアという大きな文脈のなかで、異なる社会環境をもつ日中で学び合い、外側の視点を意識し合い医療システムの外側に広がる、文化的社会的な根深い問題をお互いに認識できることを目指します。